高齢者の労災防止が2026年4月から努力義務化!職場はどう変わる?

「うちの会社、60代の人が増えたけど安全対策って大丈夫なの?」そう感じている方は多いのではないでしょうか。

2026年4月1日、改正労働安全衛生法が施行され、すべての事業者に高年齢労働者の労災防止対策が「努力義務」として課せられます。

60歳以上の労働者が増え続ける中、転倒・墜落事故は深刻化。対策を怠った企業は損害賠償リスクも抱えることになります。この記事では、企業が取るべき具体策からシニア雇用の補助金まで、知っておくべき情報をまとめました。

💬 読者の声

シニアスタッフが転んでケガをした。労災申請したけど、そもそも防止対策って何をすればいいの…?

なぜ今?高齢者の労災が急増している実態

日本の就業者に占める60歳以上の割合は年々上昇し、労働災害の約4分の1が60歳以上で発生しています。

災害の種類 60歳以上の発生率(vs 20代) 主な原因
転倒(骨折等) 女性:約19.5倍 筋力低下・バランス機能の衰え
墜落・転落 男性:約3.6倍 視力低下・反応速度の低下
腰痛(動作の反動等) 約2.5倍 加齢による体力低下
熱中症 約4倍 暑さへの感受性低下

出典:厚生労働省 高年齢労働者の安全衛生対策

⚠️ 注意

努力義務は法的拘束力が弱いと思われがちですが、対策を怠った状態で労災事故が発生した場合、「安全配慮義務違反」として民事上の損害賠償責任を問われるリスクがあります。

あなたの職場は大丈夫?シニア対応度チェック

あなたの職場のシニア対応度チェック

5つの質問に答えて、職場の対応度スコアと改善提案を確認しましょう

Q1. 職場の床は滑りにくい素材・清掃が行き届いていますか?



Q2. 高齢者向けの照明の明るさ確保・段差表示はされていますか?



Q3. シニア社員向けの体力チェックや健康診断の強化はありますか?



Q4. 重量物の取扱いや作業の負担軽減措置はありますか?



Q5. 熱中症対策(休憩頻度・水分補給の促し等)は強化していますか?



企業が取るべき7つの具体的対策

改正労働安全衛生法第62条の2では、「高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない」と定められています。

具体的には、以下の7つの対策が求められます。

対策1:転倒防止のための床面改善

滑りにくい床材への変更、段差の解消、通路の整理整頓が基本です。水回りには滑り止めマットを設置しましょう。

対策2:照明の改善

加齢とともに必要な照度は上がります。60歳以上は20代の約2倍の明るさが必要とされており、作業場の照度アップが効果的です。

対策3:作業負担の軽減

重量物の取り扱いにはリフト機器やアシストスーツの導入を検討しましょう。作業時間や休憩頻度の見直しも重要です。

対策4:体力チェック・健康管理の強化

年1回の定期健康診断に加えて、体力テスト(握力・バランス機能等)の実施が推奨されています。結果に応じた配置転換も検討しましょう。

対策5:熱中症対策の強化

高齢者は暑さを感じにくいため、WBGT値の管理、こまめな休憩の声がけ、経口補水液の常備など、若年者以上の対策が必要です。

対策6:安全教育の実施

加齢に伴う身体機能の変化を本人にも理解してもらうための研修を実施しましょう。「自分は大丈夫」という過信が事故につながるケースが多いです。

対策7:リスクアセスメントの実施

職場全体のリスクを洗い出し、優先順位をつけて対策する「リスクアセスメント」は、すべての対策の土台になります。

ポイント

・厚労省の「エイジフレンドリーガイドライン」に具体的な対策例が記載されている

・対策の実施状況を文書化しておくことで、万が一の際の「安全配慮義務を果たした証拠」になる

使える補助金・助成金まとめ

シニア雇用の安全対策には、国の補助金が活用できます。コストを抑えながら対策を進めましょう。

制度名 補助率・上限額 対象
エイジフレンドリー補助金 費用の1/2(上限100万円) 60歳以上の労働者がいる中小企業
65歳超雇用推進助成金 最大160万円 65歳以上への定年引上げ等を実施した企業
人材確保等支援助成金 最大60万円 雇用管理制度の導入・改善を行った企業

出典:厚生労働省 エイジフレンドリー補助金独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

注意点

・エイジフレンドリー補助金の申請期間は例年5月〜10月頃。早めの準備が必要

・リスクアセスメントの実施は補助率4/5と手厚い支援が受けられる

よくある質問(FAQ)

Q. 「努力義務」だから対策しなくても罰則はないの?

A. 法的な罰則は確かにありません。しかし、対策を怠った状態で労災事故が起きた場合、民事上の「安全配慮義務違反」として多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。実質的に「やらないリスク」のほうが大きいのです。

Q. 何歳以上の従業員が対象ですか?

A. 法律上は「高年齢労働者」に特定の年齢定義はありませんが、厚労省のガイドラインでは主に60歳以上を念頭に置いています。エイジフレンドリー補助金は60歳以上が要件です。

Q. 小規模企業(従業員10人未満)も対象ですか?

A. はい。努力義務は企業規模を問わずすべての事業者が対象です。従業員が1人でも60歳以上の労働者がいれば、対策を講じるよう努める必要があります。

Q. 具体的に何から始めればいいですか?

A. まずは「リスクアセスメント(職場の危険箇所の洗い出し)」から始めましょう。厚労省のエイジフレンドリーガイドラインにチェックリストが掲載されています。費用のかからない「整理整頓」「照明の確認」から着手するのがおすすめです。

まとめ:シニア雇用の安全対策は企業の生き残り戦略

2026年4月からの高齢者労災防止の努力義務化は、「シニアが安心して働ける職場づくり」を企業に求める法改正です。

まとめ

・2026年4月から全事業者に高年齢労働者の労災防止が努力義務化

・60歳以上の転倒事故は20代の約19.5倍(女性)と深刻な水準

・エイジフレンドリー補助金(上限100万円)で対策コストを半減できる

・対策の文書化が「安全配慮義務を果たした証拠」になる

人手不足の時代、シニア人材の活用は避けて通れません。補助金を賢く使いながら、事故が起きる前に対策を整えていきましょう。

出典:厚生労働省 高年齢労働者の安全衛生対策